

風景は身の回りの環境を映す鏡
風景感覚を養って、風景を愉しみ、美しい国土・地域づくりに貢献する人材が必要
景観工学の分野から風格ある地域づくりの計画論を研究
私は、美しい風景(景観)を成立させる諸条件を工学的に分析し、その知見に基づき、地域それぞれの固有の景観を保全するとともに、良好な景観を形成するための景観アセスメント手法や景観計画プロセスに関する研究を行ってきました。とりわけ、全国どこでも似たような景観が形成されるようになってしまった今日、その地域の心のよりどころとなった山岳や水辺、大木、あるいは社寺等の「自然の造形」「祖先の造形」を活かすことの大切さを見直し、少しでも風格あるまちづくりにつなげていきたいと考えています。
観光地での体験や日々の生活を豊かにする
観光体験における最大の魅力の一つは、旅先の個性を活かした風景に出会うことです。また日常的に使う公園や広場、プロムナードをいかに魅力的なものにしていくかといった、空間デザイン、景観デザインは、人々の体験を豊かなものにしていきます。私の研究では、これらを実現するために文献調査も行いますが、フィールドワークが欠かしません。またジオラマ模型やコンピュータグラフィックスを駆使し、頭で考えるだけでなく、身体感覚で、そして手を使って研究していきます。
こうした研究手法を用いて、例えば、地形や樹木などの「自然の造形」を活かし、その地域のランドマークとなっている山岳や海等の眺めを街の景観に取り込み、風格あるまちづくりを行ってきた事例や、その地域の成り立ちに関わる歴史的建造物を景観的に活かしたまちづくりのプロセス等を研究し、現代の景観づくりや風格あるまちづくりに活かせるプランニング要因を探っています。
本ゼミでの学びを検討する学生へのメッセージ
景観工学に関心のある方は、とにかくいろいろな地域、自然の風景を眺めることから始め、絶景で心を震わす体験を積んでほしいと思います。また景観を切り口に、その地域社会や環境の問題を考えるとともに、その地域の個性を活かしたまちづくりに関心を持ち、積極的に参加していってほしいと願っています。